吹奏楽部にとって楽器は大切なものですよね。吹奏楽部では毎日の練習後にお手入れをしていますが、定期的なメンテナンスも必要です。また上達するためには自主練習が必要な場合もありますが、大きな音が出る楽器はどこでも練習ができるわけではありません。楽器のメンテナンス方法や演奏ができる自主練種場所についてまとめました。
楽器のメンテナンス方法
良い音を維持するためには楽器のお手入れが重要です。お手入れをおこたると、音が悪くなったりピストンやキーの動きが悪くなったりしてしまいます。楽器には金管楽器と木管楽器と打楽器がありますので、それぞれのお手入れ方法を簡単に説明します。間違ったお手入れ方法だと不具合が出てしまうことがありますので、細かいお手入れの仕方は専門の方や部の先輩に確認しましょう。
2)金管楽器・トランペットのメンテナンス
金管楽器にはトロンボーンやホルン、ユーフォニアムなど多くの種類がありますが、ここではトランペットを例にとって説明していきたいと思います。
演奏後にはトランペットの管内に水分がたまっているので、この水分を捨てます。演奏中にもたまってしまう場合には「ツバ抜き」といってその水分を捨てます。ツバと言っていますが、この時捨てているのはツバではありません。少しはツバも混ざっているかもしれませんが、楽器の管内にたまるのは水蒸気の結露の水分です。楽器を吹く時の息に含まれている水蒸気が楽器の管内で結露して水分となるので、汚くはありません。この水分をしっかりと抜かないと、カビが発生したり金属が腐食してしまったりします。
トランペットにはウォーターキーというものがあり、そこから管内の水分を捨てます。そのあとにスワブという紐の付いた布を管内に数回通して、管内の水分を拭き取ります。このスワブにはそれぞれの楽器用がありサイズもいろいろあるので、最適なものを使用するようにしましょう。その後は専用のクロスで表面をしっかりと拭きあげます。楽器の表面に手の汚れや埃などが付いたままだと、表面の塗装が剥がれることもあるので、こまめに拭くようにしたいですね。
トランペットで口をつける部分はマウスピースといいます。このマウスピースは取り外すことができるので、週に一回程度専用のソープを使って洗浄すると清潔に保つことができるのでオススメです。
金管楽器は分解して洗うこともできますが音の感触が変わってしまうこともあるので、コンクールや大切な演奏の前にはフルメンテナンスをおこなうのは避けたほうが無難です。
1)木管楽器・サックスのメンテナンス
木管楽器のお手入れは、サックスを例にとって説明したいと思います。木管楽器は金管楽器と違って水で洗うことはできませんが、金管楽器同様に管内の水分を拭くことが大切です。ウォーターキーがあるサックスの場合には、そこから管内の水分を捨てます。その後、楽器本体にスワブを通して管内の水分をキレイに拭き取ります。
サックスの指で押さえる部分(キー)の裏側には、フェルトと革でできているタンポという部品があります。このタンポにも水分がたまりやすく、タンポ自体が水分を吸い込むのでクリーニングペーパーを使って水分を拭き取ります。水分が残っているとタンポが傷み、サビの原因にもなります。
楽器の表面やキーは手垢や指紋で汚れていますので専用のクロスで優しく拭きあげます。木管楽器はキーの構造が複雑ですから、余分な力をかけないよう注意して拭きましょう。キーの動きが悪くなってきたら、キーオイルをさします。キーオイルにも種類があり、純正以外のオイルを使用すると故障することもあるので注意してください。
3)打楽器のメンテナンス
打楽器は他の楽器パートと違って、様々な楽器を演奏します。打楽器にはティンパニ、木琴、鉄琴、スネアドラム、タンバリン、シンバルなど木製のものや金属製のものなど楽器の素材もそれぞれ違うため、お手入れ方法も違います。打楽器は大きなものが多いため、自宅でのメンテナンスは少ないとは思いますが、必要な道具などを知っておくと良いと思います。ここでは木琴とスネアドラムのお手入れ方法を紹介します。
まず木琴と言っても、木琴の中にはマリンバやシロフォンなどがあります。一見するとそっくりですがマリンバはやわらかい音、シロフォンはくっきりとした硬い音が特徴です。お手入れ方法はどちらも、ネジのゆるみをチェックし、ネジ部分に埃があれば取り除きます。音が出る音板は木製のため、水分は厳禁です。どんなに汚れていても水拭きをしてはいけません。専用のクロスで優しくから拭きしましょう。
次にスネアドラムのお手入れです。基本的には使用したら良く磨けば大丈夫です。スネアドラムは金属の胴の部分と革のヘッド部分があります。金属部分はやわらかいクロスで汚れを取り除きます。サビが出てしまうと音の響きが悪くなるので、こまめに拭くようにしたいですね。音程を合わせる時に回すチューニングボルトも良く拭き、必要があればネジ部分に専用のオイルをさします。
楽器の調整やフルメンテナンスは学校が部費で専門の業者に依頼することもありますが、まずは日々のお手入れを十分におこなう必要があります。必要な道具や手順が楽器ごとに違うので、顧問の先生や同じパートの先輩に確認をしてくださいね。
自主練習ができる場所
吹奏楽は練習すると当然音が出ます。吹奏楽部で練習をしているとマヒしがちですが、練習の音は思っている以上に周囲に響いています。学校の部活の時間であれば問題はありませんが、自宅などでの自主練習には注意が必要です。吹奏楽に理解があり好きな人ばかりではありませんので、近所迷惑やトラブルになってしまいます。クレームが多ければ最悪では退去の勧告を受けてしまうこともありますから、練習方法については保護者の方と子供とできちんと話し合うのが良いですね。
自宅で練習する方法としては、消音(ミュート)を使う方法があります。一般的にミュートとは、主に金管楽器に使用される楽器に取り付けて音を小さくする弱音器のことをさします。演奏中にも使用する場合がありますが、練習用のためのミュートも販売されています。注意点としては音が完全に消えるわけではないという点と、音がこもったり音程が変わってしまうことがあるという点です。自宅での短時間の練習には向いていますが、長時間の使用は近所迷惑の可能性があるので気をつけてください。特に初心者は、しっかりと音を出して練習する方が良いので、ミュートはどうしても自宅で練習をしたい時にとどめた方が良いかもしれませんね。
吹奏楽部に入部すると早く上達したいため自主練習をしたいという部員が多くいます。部活が休みの時に休息を取ることも大切ですが、うまくなりたいという気持ちも尊重してあげたいですよね。ここでは吹奏楽の個人練習ができる場所を紹介します。
1)音楽スタジオ
楽器店や楽器教室では、音楽スタジオが借りられるサービスをおこなっているところがあります。店頭申し込みや電話で申し込むことができます。音楽スタジオのため十分な防音設備がされているので、思い切り大きな音を出すことができます。音楽スタジオの他にもレンタルスタジオ、貸し練習室など名称は様々です。広さや設備によって料金も幅がありますが、1時間600円〜4500円ほどです。貸し出しの時間帯も朝早くから夜遅くまで可能であったり、他のレッスンのない時間帯に限られたりしますので、希望の時間に借りられるのか事前に確認してください。
2)公共施設
地区の公民館や文化会館などの公共施設の中には、ホールや練習室を借りることができるところもあります。またスタジオのような施設がなくても会議室などでの練習がOKな施設もあります。貸し出し時間は一回2時間のみの場合や、午前・午後・夜間の4時間ごとに分かれている場合などがあります。メリットとしては料金が比較的安く、小さな練習室であれば1時間250~500円で貸し出ししている施設もあります。デメリットとしては公共施設のため、当日いきなり申し込んでも借りられないケースが多いという点です。施設によっては事前に登録を済ませておく必要があったり、予約のたびに書類の提出が必要だったりします。
3)カラオケボックス
身近な大きな音を出せる施設といえばカラオケですよね。予約もできるし、予約を取らなくても空室があれば練習がしたい時に利用することができます。重要なポイントとしては、楽器の持ち込みと楽器の演奏が可能な店舗かどうかという点です。店舗によっては楽器の演奏を禁止しているところもあるので、必ず事前に確認しましょう。
学校の校則によってはカラオケボックスの出入りを禁止していることもあるので注意してください。うちの子の学校の場合は保護者が同伴であればOKでした。保護者同伴の場合も、カラオケ店の利用は18時までという時間の決まりもありました。学校によって校則は様々ですから、子供任せにするのではなく保護者がきちんと確認しましょう。カラオケ店には不特定多数の人間が出入りしますし、お酒の提供もしています。校則で許されていても、補導やトラブルにならないように子供が一人で利用するのは避けた方が無難ですね。
音響はいまいちなこともありますし、他の部屋の歌っている音などが気になるということもあるので練習場所として合わないということもあるかもしれません。ただ利用しやすく料金が安いので、一度試してみるのは良いと思います。学生は学割料金があるカラオケ店が多いので、比較的リーズナブルに部屋を借りることができます。料金の目安は1時間200円〜500円ほどです。
4)公園・河原
映画やマンガで河原で楽器の練習をしているシーンを見たことはありませんか?広い場所で周囲に住宅がなければ可能かもしれませんが、あまり頻繁だと苦情が出てしまうかもしれません。楽器の音は遠くまで響くので、長時間の練習は近所迷惑になりかねません。公園によっては楽器の演奏が禁止されていたり、許可が必要な場合もありますので事前に確認しましょう。
練習ができる場所があったら、すぐにでも練習を始めたいとは思いますが、まずはしっかりと事前の準備をしましょう。屋内での練習とは気をつけなくてはならないポイントが色々と違います。まず楽器へのダメージの可能性があるという点です。どの楽器でも直射日光や風雨、砂埃などによるダメージが考えられます。金管楽器であれば、練習後のお手入れを念入りにおこないます。
最も注意しないといけないのがクラリネットやオーボエなどの木製楽器です。日光などで急激な温度変化を与えてしまうと、楽器にヒビが入ってしまう危険性があるからです。甲子園のスタンドで応援をしている吹奏楽部を見るとわかりますが、クラリネット奏者は楽器をタオルなどで覆っています。熱中症予防のためにも、できる限り日陰で練習をしましょう。
風が吹いて楽譜が飛んでしまうことが考えられえますので、洗濯バサミなどで楽譜を固定した方が良いです。風が強すぎると譜面台ごと倒れてしまうこともあるので、譜面台を立てる場所にも気をつけてください。突然の雨で楽器を濡らすことがないように大判のタオルやビニール袋なども忘れずに用意しましょう。練習に没頭して暑さや寒さで体調を崩すことがないように、練習時間を決めておきましょう。こまめな水分補給も忘れずにおこなう必要があります。虫がいる季節は虫除けを使ったり、長袖の服装にするといいですよ。
屋外の練習は近場であれば、お金もかからず学生にとっては助かる練習場所です。ただし、楽器への影響やダメージの可能性もありますので大事なコンクールやステージの前には、十分注意をして練習をしてください。
5)車
あまり知られていませんが、車の中でも練習は可能です。エアコンも付けれますし雨が降っていても練習ができますので、ここは保護者の出番ですね。注意点としては外への音漏れはあるので、住宅街の駐車場などは避けましょう。車種によっては車内のスペースが限られてしまいますので、大きな楽器の練習には向かない場合があります。
練習に付き合うついでに、子供とドライブを楽しむのもオススメです。部活に頑張っている子供の気分転換にもなりますし、もし演奏がうまくいかなくて悩んでいるようなら場所を変えて練習をしてみるのも良いと思います。
6)防音室
自宅に防音室を作る方法もあります。当然費用がかかりますが、もしこれからも吹奏楽を続けていくのなら長い目で見るとコストが安く上がることもあります。気にかかる工事費用ですが、自室を防音室にリフォームすると6帖ほどの広さで160〜270万円ほどです。防音のグレードや家の造りによって費用が変わります。
この他にも、部屋に防音室を設置する方法もあります。組み立て式の防音室を部屋に置くので、部屋が狭くなってしましますが費用はリフォームをするよりもコストをおさえることができます。組み立てにかかる時間もサイズによっては4時間程度の物もあります。床や壁に穴を開けずに設置できるので賃貸マンションでも問題がなく、引越しの際の移動も可能です。
まとめ
吹奏楽部に入部すると楽器のメンテナンスと練習が必要になってきます。良い演奏のためには楽器のコンディションを保つことが大切です。そのためにも日頃のお手入れをしっかりと続けることがポイントになります。お手入れの方法や必要な用品などは楽器ごとに違いますので、正しい手順も合わせて確認しましょう。
吹奏楽部員が練習場所に困るというのは、よく聞く話です。上達するためには練習をするしか方法はありませんが、大きな音を出せる場所はなかなかありません。楽器の音が迷惑にならない場所というのは限られていますし、学生ですので補導やトラブルに巻き込まれないように保護者の立場からも注意をしてあげたいですね。